インタビュー バリトン歌手:駒田敏章さん

インタビュー バリトン歌手:駒田敏章さんの画像
インタビュー バリトン歌手:駒田敏章さん

 バリトン歌手の駒田敏章さんにとって、東京オペラシティは特別なところだ。
2014年秋、コンサートホールで開催された「第83回日本音楽コンクール」声楽部門で第1位に。
「本選の待ち時間、今日のように撮影されたりして緊張しつつも、やりたかった曲を全部歌いきって優勝できた、思い出深い場所です。学生時代からコーラスの補充要員で舞台に乗っていましたし、新国立劇場オペラ研修生時代は、毎日朝9時から夕方6時頃まで稽古に励んでいました。地下1階の『HUB』で、公演の打ち上げもしましたね」
大学受験までは、クラシックと無縁だった。
「ロックバンドでギターやドラムをやっていたんです。音楽の先生を目指して、受験勉強で歌やピアノを始めたとき、ドイツの作曲家シューマンの歌曲を知り『世の中にこんな奥深い歌があるのか!』と感動しました」
愛知教育大学に入学後、バリトン歌手で東京藝術大学教授だった多田羅迪夫さんと出会い、東京藝大へ。同大学院修了後、新国オペラ研修所で研鑽を積んだ。
駒田さんの声は明るく柔和なバリトンで、話しているだけでもうっとり聞き惚れてしまう。
「研修生時代にテノールの訓練も受けましたが、高音を頑張って歌うより、無理のない音域で内容表現に力を注いだ方が性格的にも合うと判断しました」

東京オペラシティ バリトン歌手: 駒田敏章さん

 現在はオペラと歌曲を両輪に活動している。
「オペラはしっかりした声で感情表現しなければいけないし、指揮者や演出家の意に沿って大勢でやる共同作業ですが、歌曲のリサイタルは今日の気分に合わせてワインを選ぶように、伴奏者とふたりでやりたいことができます。最近は、曲の内容や成り立ちなどを解説して歌ったりも。こうすると、お客さんにとって初めての曲でも『なるほどね』と聞いてくれるし、聴きなじみの薄い曲も歌えます」
歌曲といえばシューマンやシューベルトの恋の歌がおなじみだが、12月の「B→C」公演では、バッハや米国で活躍した現代作曲家の歌曲にチャレンジする。
「きゃりーぱみゅぱみゅやPerfume(パフューム)好きの僕にとっては、例えばジョン・アダムズの作品はオーケストラでやるテクノみたいなもので、大きい垣根があるわけではないです。クルト・ヴァイルの『アラバマ・ソング』なんか、最初に聴いたのはデヴィッド・ボウイだし、ザ・ドアーズも歌っています。それに今回は字幕も用意するので、歌の内容はリアルタイムでわかってもらえます。プログラム全体にストーリー性を持たせてあり、アメリカと第二次世界大戦というテーマをじっくり聴いてもらいたいです」
東京オペラシティは、今や駒田さんの仕事場だが「雰囲気のいい『椿屋珈琲』で休憩するのも好きです。ここで一服してからコンサートを聴いて、終演後は展望レストランで食事しながら感想を言い合うなんてどうですか。僕の公演が、東京オペラシティのホールなど劇場に人が集まるきっかけの一つになればうれしいです」。
インタビュアー 原納暢子

PROFILE

駒田敏章 Toshiaki Komada
愛知県出身。愛知教育大学を経て、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学大学院修士課程修了。新国立劇場オペラ研修所修了後、文化庁海外派遣でドイツ・ベルリンに留学。2014年第83回日本音楽コンクール第1位。最近のオペラでは、新国立劇場のジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」、マスネ「ウェルテル」で好演。歌曲にも注力し「東京・春・音楽祭」でシェイクスピア作品を歌唱。来春はシーザーとクレオパトラを描いたオペラ「ジュリオ・チェーザレ」に出演する(2020年4月7・11・12日、新国立劇場)。

What's B→C

「アメリカ」をメインテーマに
詩と音楽によって現代を見つめ直す

「B→C」は有望な若手日本人演奏家が、バッハ作品と現代作品を軸に工夫を凝らしたプログラムを作って演奏する、98年から続く人気リサイタルシリーズ。駒田さんの公演では、アダムズのグラミー賞クラシック現代作品部門受賞オペラ「中国のニクソン」と原爆を作った博士を描いたオペラ「ドクター・アトミック」の名曲が、最初と最後を飾る。

12月10日(火)19:00開演(18:30開場)東京オペラシティ リサイタルホール、3000円(税込・全席自由)公演詳細はウェブサイトをご覧ください。
チケット予約はWEBおよび東京オペラシティチケットセンター(TEL:03-5353-9999)へ。
東京オペラシティ レストラン&ショップ ご優待サービス
東京オペラシティコンサートホール・リサイタルホールのチケットまたはチケット半券をお持ちのお客様は、東京オペラシティの対象ショップ、レストランにてお得なサービスが受けられます。
Adagio トップ